はじめまして。マクニカに中途入社して6年目を迎えたD.K.です。現在ネットワークスカンパニーで、技術の部長職としてサイバー攻撃対策に関わるプロダクト、セキュリティサービス、アカウントエンジニアリングを担当しています。
今回は、SIer出身・30代・はじめての転職で、何故マクニカに入社することにしたのか、これまでの経験や知識をどのように活用できているのか、入社後のギャップ、今後のキャリアプランなどについてお話できたらと思います。
<特に読んで頂きたい方>
・SIerのエンジニアの方(商社のエンジニアとの違いを知りたい方)
・セキュリティに関わる仕事をしている方(セキュリティ業界内で勤め先を変える事に不安が感じている方)
・30代での転職で悩んでいる方
◆前職での経験
私は2004年に新卒で国内の大手システムインテグレータに入社しました。最初に配属された部署は、官公庁に関わるセキュリティのプリセールス活動を行うチームでした。
当時はまだセキュリティに対する対策の必要性や危機感は一般的に乏しく、あまり積極的なセキュリティ対策が進んでいませんでしたが、官公庁からのP2Pソフトを経由した情報漏えい事件や個人情報保護法の施行など、企業がセキュリティ的に意識すべきことが短期間で沢山起きていて、業界が盛り上がり始めた時期でした。
ちなみに私はセキュリティについて学生時代に専門的に学んだわけではありませんが、割と好奇心旺盛な学生だったので、アンダーグラウンドなサイトを巡回して情報収集したり、怪しいツールを集めては試したり、色々なことをしていました。その経験から「セキュリティ=アンダーグラウンド=楽しそう」というイメージが自分の中にあり、セキュリティの道を歩むことにしました。
プリセールスという仕事は、一般的にはある程度の経験を積み、その業界や技術に関する知識やスキルを身に着けた人がやるものだと思います。ただ当時はセキュリティ業界自体が黎明期で社内に経験者がいなかったため、「ならば元気で頭が柔らかい新人を」と例外的に配属されたのだと思っています。正直、経験豊富なお客様に対して、専門知識はおろか社会人としての仕事の仕方すらままならない状態で"事業の提案"をするのは、かなり辛かったです。その分、苦労し一生懸命取り組んだので「人がやっていないことに取り組み道を切り拓くことの楽しさ」「結果につなげたときの達成感と喜び」が得られ、その感覚が今の私の仕事に対する考え方の礎になっています。
<前職で得たもの>
・セキュリティに関するジェネラリスト的な知識
・中央省庁に関する業種専門知識、顧客知識
・プリセールス活動において特に重要な、お客様視点を重視するということ
・提案スキル(コミュニケーション、仮説検証サイクルの実行マインド、ドキュメント作成スキル等)
・事業戦略の検討を行う経験(社内およびお客様の戦略)
・未知の領域にチャレンジすることの楽しさ、喜び
◆マクニカ入社のきっかけ
前職で私はお客様向けにセキュリティ関連システムを提案する活動をしていたので、定期的にマクニカの営業から商品紹介を受けたり商品を購入(お客様へ納入)しており、その頃からマクニカと接点がありました。
今でもよく覚えているのが、マクニカに対する悔しさや嫉妬という感覚です。当時私は、いわゆる顧客アカウントの活動をしていましたので、特定のお客様へ何度も通い提案活動をしていました。するとよくお客様から「マクニカからこんな面白い製品を紹介してもらったのだけど・・・」「マクニカのXXXさんが言ってたんだけど・・・」「マクニカのレポートだと・・・」というように、お客様に対しマクニカが影響を与えていることを痛感する状況に遭遇し、幾度となくやるせない気持ちになっていました。
そんな私がマクニカへ転職したのは33歳の時でした。SIerあるあるだと思うのですが、リーダークラスになると業務の中でいわゆるマネジメント(プロジェクト、スケジュール、人、社内方針etc)をすることが急に多くなり、エンジニアとしての成長感が薄れる、そして楽しくなくなる、ということが起きていました。
そうして悩み、転職を考えたとき、活き活きと良い仕事をする社員が沢山働いているマクニカって良い会社なんじゃないか?と、ふと思い出しました。そして、当時仲が良かったマクニカの営業に相談し、採用面接を受けることにしたのです。
◆マクニカに入社してみて
マクニカのことは元々知っていましたし、同じセキュリティ業界ではあったものの、30代での初めての転職ということで不安を感じながらも、自分の実力が試されるときだと発奮したのを覚えています。
まず、SIerと商社のエンジニアの違いを簡単に説明します。あくまで私見ですが、SIerはジェネラリスト、商社のエンジニアはスペシャリストが求められる傾向があります。別の言い方をすると、SIerは「自分が担当するお客様に最適なソリューションを提供するためにトレンドを掴み提案を組み立てる」ことを目的とし、商社は「幅広いお客様に社会課題を解決可能な先進技術・プロダクトを発掘し普及させる」ことを目的とします。ですので、商社のエンジニアは技術・プロダクトを熟知する過程で技術専門性が必要となります。また新しいプロダクトは粗削りなことが多く、ドキュメントも整備されていない中で、触りながら理解を深めたり、ドキュメントそのものをメーカーに代わり作成・提供することも当たり前で、とにかく色々とわからないことだらけの中で自分自身の中にナレッジを蓄積することが必要になります。
◆入社後にぶつかり、乗り越えた壁
入社後、私はあるセキュリティプロダクトのエンジニアとして配属されました。その中でも新しい商材の立ち上げのリーダーを任されたのですが、やはり様々な面で苦労をしました。例えば、マクニカのエンジニアとして持つべき技術力についての感覚の違いです。マクニカは専門商社として、技術力を売りにしています。つまり、右から左へ効率よくプロダクトを流しマージンを取るという薄利なビジネスではなく、しっかりとした技術的な付加価値を提供し、適正な対価をお客様から頂戴するビジネスをしています。その価値をどう創り提供するかについては、決まったやり方など存在せず、エンジニアが自分自身で考えていくということが、マクニカでは求められました。
私は前職では新卒から13年間、ほぼプリセールスのエンジニアとしてのキャリアを歩んできましたので、正直に言うと自分自身で手を動かしてシステムの設計やプログラムの開発をするという経験がほぼありませんでした(プロマネは多少経験)。ですので、いきなり壁にぶつかったことになりますが、自分自身のエンジニアとしての課題やコンプレックスのポイントとなる部分でしたので、覚悟を決めて取り組みました。新しい商材でしたので、社内だけでなくメーカーも含めて「日本中で誰よりもそのプロダクトに触れる時間を長くとり、詳しくなる」と決め、とにかく色々な検証をしました。既存の商品紹介資料はあえて捨て、自分の想いを込めた資料をたくさん作りました。また、元々お客様志向が強かったので、営業にお願いしてお客様への紹介機会をたくさん作ってもらい、お客様からのフィードバックを得ることで客観的な製品の良し悪しを理解しました。
これにより、商社のエンジニアとしてどのように社内の営業やエンジニア、社外のパートナーやメーカーの営業・エンジニアの方々と連携していくかを覚え、自分の存在意義を示すことでき、自分自身のブランドを確立することもできたように思います。様々な機会や運にも恵まれ、ビジネス的な意味での成果もある程度得られました。この経験が、マクニカのエンジニアとしての自信にもつながっています。
なお、余談になりますが、入社して最初に感じたのは「チームの若いエンジニアがめちゃめちゃ優秀!」ということでした。人が育つ風土があるなという印象です。今回は詳細については割愛しますが、恐らく皆、私と同じように何らかの覚悟を決め、楽しみながら取り組んで成長しているのだろうなと思います。
<活かせた前職の経験・知識>
・セキュリティの汎用知識
・お客様視点を重視するということ
・提案スキル(ドキュメント作成、お客様への紹介、課題ヒアリングから解決策の導出、プレゼン)
・新しいもの(自分が未経験なこと、会社として未経験なこと)に挑戦するマインド
<壁を乗り越えて得たもの>
・マクニカのエンジニアとしての技術力(知識やスキルという点だけでなく、マインドや姿勢も)
・商社のエンジニアとしての適切な立ち回り
・営業の圧倒的な活動量についていくための体力とスピード感
◆現在の仕事と今後のキャリアについて
現在私は、プロダクトのほかに、マクニカ独自のセキュリティサービスの開発・提供と、セキュリティへの注力度が高い特定のお客様向けのアカウントエンジニアリングを部長職として担当しています。当社独自のセキュリティサービスとアカウントエンジニアリングは、これまで長くマクニカが取り組んできたプロダクトのディストリビューション事業とは性質が異なる、会社としてビジネス領域を広げるための新たなチャレンジです。
マクニカに入社して1週間目の時の私のメモを読み返すと、「マクニカは自分がやりたいことをやりたいと言え、何かはわからないが今後新しくやりたいことができたときに挑戦ができる会社」とあります。私が今後どんなキャリアを歩んでいくかは正直描き切れていない部分もあります。ただ、私の軸になっているのは「新しいことへの取り組むチャレンジ精神」です。マクニカには可能性が無限大にあります。自分の強みを活かしながらこれからもチャレンジをし続けます。
関連記事
前へ
ド営業女子が、ママ マーケターに転身するまで
次へ
チャレンジすることが成長につながる